散布図行列で考える、日本の漁場、大船渡の漁場
私の住む岩手県大船渡市は、さんまの漁獲量が全国でNo.3(平成27年度)を誇ります。しかしながら、近年はさんまの漁獲量が落ち込んでいるそうなのです。地元の漁師の方に話を伺うと、さんまの漁場は年々北上していて、以前のさんまの漁場では、大船渡より南の漁場でよく取れる魚たちが網にかかるようになった、と聞きました。
漁場の北上化によって、漁船の燃料代が以前よりかかるようになります。また、漁場の近くにある大小様々な水産加工場も、水揚げされる魚の種類が異なってくると、機械が対応しなかったり、今までの加工、流通のノウハウが使えず、ダメージを受けます。最終的には私たちの家計にしわ寄せが・・・
1、散布図行列によって魚の漁場を考察する
散布図行列は、複数の散布図を整列させたもので、各項目の相関関係を把握することができます。今回、くろまぐろやさんま、さば等の漁獲量のデータで散布行列図を作成すれば、それぞれの魚の相関関係を把握することで、漁場について考察することができると考え、図を作成してみました。
今回参考にしたデータは海面漁業生産統計調査の平成27年度のデータ(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00500216&tstat=000001015174&cycle=7&year=20150&month=0&tclass1=000001042343&tclass2=000001097435)から、調査対象の魚類の総漁獲量が一万トン以上ある市町村をピックアップし、「くろまぐろ、かつお、さけ、ます、にしん、まいわし、まあじ、さば、さんま、ぶり、ひらめ、かれい」の漁獲量のデータで、散布図行列を作成しました。
2、散布行列図の考察
見辛くなってしまい大変恐縮なのですが、散布行列図について解説します。例として、くろまぐろとかつおの相関相関関係を確認してみます。1行目の2列目を確認してみてください(くろまぐろと書いてある四角の右、かつおの上です)。この散布図は、白い丸の点が右肩上がりに表示されています。このようなケース、正の相関関係があると考えます。
「くろまぐろ、かつお」以外に正の相関関係があるものとしては、3行目、4列目の「さけ、ます」でしょうか。この二つは他の散布図に比べ、はっきりと右肩上がりであることが確認できます。
3、散布行列図のヒートマップ
先ほどの散布行列図は小さく見にくかったので、ヒートマップにしてみました。青い部分ほど正の相関が働き、赤い部分ほど負の相関(関連性が薄い)が働いています。表の左上から右下にかけて青い四角が斜めに並んでいますが、この部分は、「くろまぐろとくろまぐろのデータ」といったように同じ魚のデータを比較していますので、この部分は無視してください。
先ほど述べた「くろまぐろ、かつお」(1行目の2列目)と「さけ、ます」(3行目の4列目)は青で塗られており、正の相関関係です。10行目の1列目、くろまぐろとぶりや、7行目の6列目の、さばとまいわしも同じぐらい強い正の相関関係があります。
それでは、大船渡市の誇るさんまについてみてみましょう。さんまは、かれいと、にしんに対して正の相関関係があるようです。私も、大船渡に来てから、船に乗ってかれいを釣りに行きました。しかし、にしんは大船渡では水揚げされていません。元データを調べてみたところ、にしんは大船渡よりも北のさんまの漁場(釧路、根室など)で水揚げされているようです。
4、まとめ
今回、市町村別の魚の漁獲量のデータを使って、漁場の考察をすることができたと思います。今後は、さんまの漁場の北上問題のように、他の種類の魚でも北上しているものはないか調べてみたいと思いました。